広がるチーズ×SAKEの無限の楽しみ
2020/11/11
チーズといえば日本人の食生活で幅広く愛されています。
ワインとともに食べるナチュラルチーズから、グラタンやトーストなどのチーズアレンジ料理まで。チーズの可能性は偉大ですよね!
11月11日の「チーズの日」にちなみ、今回はチーズと日本酒についてのお話を、Whim SAKE&TAPAS店長の私Mahoがご案内させていただきます!
<目次>
1.世界トップクラスの一流ソムリエの太鼓判、チーズと日本酒の楽しみ方
2.パリにもひろがるチーズ×日本酒
3.Whimのチーズとお酒のペアリングメニュー
4.世界で認められた「チーズ工房 千」のこだわりの国産チーズ
1. 世界トップクラスの一流ソムリエの太鼓判、チーズと日本酒の楽しみ方
「チーズに合うお酒」を連想すると「ワイン」を挙げる方が多いと思いますが、近年では「日本酒×チーズ」の組み合わせの人気が高まっています。
日本酒とチーズのペアリング提案をする飲食店があったり、蔵元も自身のお酒に合う食事としてチーズをおすすめする紹介などもよく見かけますよね。
そして昨今、チーズ大国フランスにおいても日本酒とチーズのペアリングが提唱されているのをご存知ですか?
フランスには「Kura Master」という日本酒のコンクール(品評会)があります。フランス一流ホテルのトップソムリエやレストラン関係者などが審査員を務め、エントリーされた銘柄をブラインドで審査し、純米、大吟醸などの部門ごとに評価をします。
また、フランスの食文化として重要視されている「飲み物と食事のペアリング」という観点から「日本酒と食のペアリング」も披露されており、2018年には日本酒のタイプ別にチーズを合わせるアイディアが披露されたのです。
▽Kura Masterで披露された日本酒とチーズのペアリング提案
<吟醸、大吟醸、純米吟醸>
⇒フレッシュタイプチーズ
・ブリア・サヴァラン(牛乳)
・シェーブル・サンドレ(山羊乳)
<吟醸、大吟醸(燻酒タイプ)>
⇒セミハードタイプ
・トムドサヴォワ(牛乳)
・カンタル(牛乳)
<純米、特別純米(醇酒タイプ)>
⇒ハードタイプ
・サン・ネクテール(牛乳)
・コンテ12カ月熟成(牛乳の部分脱脂)
<熟酒タイプ>
⇒青カビタイプ
・スティルトン(青カビタイプ)
⇒熟成タイプ
・コンテ24カ月
多種多様なチーズを生産するフランスでは、国民の生活にチーズが当たり前として存在します。ある調査による世界の中でのチーズ消費量TOP20において、フランスのチーズ消費量は1人あたり26.2kgと世界1位。日本での消費量は2.2kgとフランスの10分の1以下で、TOP20以内にも入っていないそう。
私は学生時代にフランスへ留学をしていました。ホームステイ先の冷蔵庫には絶えず数種類のチーズがプレートにストックされていて、ほぼ毎晩夕食を終えたあとにはチーズがでてきました。(食後に食べるというのも驚きでした…。)
フランスにはチーズやワインなど農産物の品質を守るための「AOC」「AOP」という国とEUによる認証システムも存在し、フランスにおけるチーズの重要性が伺えます。そんなフランス人が認める、日本酒とチーズの組み合わせは参考になりそうですね。
2.パリにもひろがるチーズ×日本酒
私は2019年にパリに住んでいた頃、チーズと日本酒のペアリングをコンセプトにしたお店「Pigalle Fromage Club」で働いていました。
パリ市内にも日本酒の飲めるお店はたくさんあります。
そういったお店の多くは日本人の経営する店舗が一般的な中、私の働いていたお店はオーナーがフランス人、スタッフもフランス人、お客さまもフランス人や海外の方々という店舗でした。
オーナーのイブは日本に数年間住んでいた経験があり、その期間に日本酒の美味しさにハマったと言っていました。「日本酒の幅広い味わいにチーズは必ず合うしフランス人にも楽しんでもらえる!」と確信したようです。
私が「Pigalle Fromage Club」で接客する中でのお客さまからの反応は、
・チーズが日本酒に合うなんて考えたことがないけど、とてもよく合う
・日本酒がこんなに美味しいなんてビックリ!日本酒を飲む機会は少ないけど手に入ったら合わせてみたい
という声をよくいただいていました。
チーズに慣れ親しむフランス人にも受け入れられる「チーズ×日本酒」の組み合わせは、もしかしたら最先端の楽しみ方かもしれませんね!
3.Whimのチーズとお酒のペアリングメニュー
Whim SAKE&TAPASでも「チーズ×日本酒」をご体感いただけます!
さまざまなタイプのお酒に合わせられるように、チーズの種類も数多くご用意しました。
特製チーズ3種盛り
●チーズ工房【千】「竹炭」 × FONIA tea CHAI(チャイ)
チーズの表面に竹の炭をまぶして深く熟成させた黒いチーズ。塩気が強く、熟成が進むと香りが増し舌触りのまろやかな個性的なチーズ。日本酒と相性のいいチーズですが、スパイス由来の薫りと果実味溢れる味わいが特徴のCHAIは、熟成感とフレッシュさが融合がした竹炭と合わせることで味わいにさらに深みが生まれます。
●チーズ工房【千】「和(なごみ)」 × 水酛どぶろく
さっぱりとしたフレッシュタイプのチーズ。淡い雪のようにほろほろと口の中でとろけ、新食感のチーズです。水酛仕込みならではのヨーグルトのような香りと穏やかな酸味のある飲み心地の良いどぶろくが、チーズとマッチします。
※「チーズ工房【千】」さんについては目次4にてご紹介!
●Fromagerie Fermier「コンテ12ヶ月熟成」 × C'est la vie(セラヴィ)
ナチュラルチーズ専門店の老舗「Fermier(フェルミエ)」さんがフランスから輸入するAOP(原産地呼称保護)認定のチーズ。コク深い芳醇な味わいが特徴のコンテチーズと、精米歩合96%ゆえの味わいが濃く力強い旨味のあるC'est la vieが合わせることで味わいにさらに深みが生まれます。
秋野菜の塩麹カマンベールフォンデュ × 金木犀どぶろく
チーズの女王とも呼ばれる白カビチーズ。日本でも馴染みあるチーズのひとつですね。Whimでは自家製の塩麹とカマンベールを合わせるチーズフォンデュにアレンジ。野菜をとろけたカマンベールにディップして召し上がっていただきます。
溶けたカマンベールチーズのもったりとした舌触りとクリーミーな金木犀どぶろくのテクスチャがマッチ。
白カビの熟成香をほのかな花の香りで包み込み、マイルドな風合いに仕上げてくれる。
じゃがいもの揚げニョッキ~トマトゴルゴンゾーラソース~ × ORBIA GAIA
イタリアの代表的な青カビのチーズ、ゴルゴンゾーラ。やや刺激的で独特な味わいのあるチーズですが、トマトと合わせることでクリーミーで食べやすく仕上げています。GAIAは赤ワイン樽由来の芳醇な香りも合わさり、甘味・旨味・酸味のバランスが整った日本酒。
これらのメニューは「Whimのチーズフェア」として、11月中Whim SAKE&TAPASでご用意しています。チーズとお酒の組み合わせの楽しさや美味しさを発見していただけたら幸いです。
4.チーズ工房 千のこだわりの国産チーズ
「特製チーズ3種盛り」では「チーズ工房【千】sen」さんのフレッシュチーズを使用しています。
千葉県大多喜町に工房を構え、チーズ職人の柴田千代さんが女性おひとりで製造されているのです。工房に隣接する牧場の搾りたて牛乳と、柴田さんご自身が乳酸菌と酵母を0.01g単位で調合されています。
「竹炭」「和(なごみ)」「産土(うぶすな)」など、独自の組み合わせで完全オリジナルの「日本のチーズづくり」にチャレンジされています。
日本の国産乳酸菌と酵母をつかった「産土(うぶすな)」は世界最大級の国際チーズコンクール「World Cheese Awards 2019」で銅賞を受賞しています。日本人世界に認められた日本のチーズとのこと!
チーズ工房「千」さんにて柴田千代さん(写真中央)にお会いしてきました。
一口にチーズと言っても、世界中にはさまざまなチーズがあります。
そして日本酒も同じく、こだわりのあるさまざまな日本酒があります。
チーズと日本酒に共通するのは多様な種類をもち、どちらも菌のチカラによる発酵食品だということ。
菌の働きがもたらす副産物同士のマリアージュは、きっと私たちにさらなる食の感動体験をもたらしてくれるのではないでしょうか。
Text by MAHO
Whim SAKE&TAPAS店長。旅行会社勤務時代に日本各地の地域のプロモーションに携わる中で日本酒に出会い、日本酒の魅力を世界に広めたい想いを胸に2019年12月にWAKAZEにジョイン。パリとお酒とカフェが好き。