日本酒と、日本の味ではない料理の組み合わせ「ビストロKARASU」
2020/11/22
東京都江東区、門前仲町駅のほど近く。飲食店や雑貨屋など個性溢れるこぢんまりとした店舗が立ち並び、深川不動尊への参拝客がのんびりと行き交う参道。
その参道から一歩裏路地に入ったところに「酒とビストロKARASU」はあります。
みなさんはじめまして、WAKAZEの営業&CS担当の安田です。
今日は、昨年WAKAZEペアリングイベントを実施させていただいたKARASUさんにお話を聞かせて頂きました!
店主の赤井健太郎さん(右)と安田
東京で生まれ育ち、現在は門前仲町の日本酒専門店「酒とビストロKARASU」、清澄白河で日本酒や日本のワインを気軽に楽しめる「タパスで立ち呑みKARASU No SU」を経営。来年1月中旬には蔵前に3号店をオープン予定!
ー赤井さんこんにちは!月末のイベントを前に、今日はKARASUさん、そして赤井さんご自身についても詳しくお伺いできれば幸いです!
いやー今年は特にあっという間に時間が過ぎてった気がしますが、考えてみたら1年ぶりのイベントですね!前回好評だったので、一層パワーアップしてやりたいです。最近少し店内をリニューアルして、前回のサインが棚で隠れちゃったんです...改めて壁にサインをもらわなくちゃ笑
昨年のイベントの様子
ー錚々たる酒蔵さんのお名前に並ばせて頂けるなんて光栄です!何度でも刻みに来ます!!
まずは、KARASUさんのこだわりについて伺いたいです。お店のコンセプトや屋号の由来、門前仲町を選んだ理由も気になります。
まず大前提のコンセプトは「日本酒の味や造りの幅の広さ、楽しみ方を広げてゆくこと」。あえて、和食以外のお料理と組み合わせることのおもしろさを知って欲しいと思っています。そのため、基本的にお醤油と味噌はどのメニューにも使ってないんです。
「からす」の名前は、親父が昔やっていた飲食店の名前なんです。
自分が生まれたときにはすでに廃業してたんですけど、昔っからよく話は聞いていて、独立を考えている頃にふと名前を聞いたんですね。
「皆が知っている、でも使わない名前」で、すっと受け入れられる。そう聞いてこれはいいなと。そこで独立するより前に屋号としてKARASUを掲げることを決めました。
門前仲町という地を選んだ理由は、東京の東側に飛び出してみたいと思ったから。
僕、生まれも育ちも飲食店での修行先も、六本木や三軒茶屋なんかの東京の西側で。先輩がいる土地で独立って、なんか嫌じゃないですか。自由がない笑
なので、土地勘のないエリアで歩いていてワクワクするところがいいなと思って、色々見てたらこの物件に巡り合いました。
ここ門前仲町や2号店のある清澄白河、3号店出店予定の蔵前は街としての歴史もありつつ、住んでいる人が若いこともあって新しいものを受け入れてくれる土壌がある。今は東京の東側の面白さにはまってますね。
ーペアリングを実際に体験させていただきびっくりしましたが、KARASUさんで提供されている食材やお酒は本当に素材の味がしっかりしていて、調理加減も絶妙だなと思います。どういった基準で選ばれていますか?
僕は作っている人の顔が見えるものを提供したいと思っています。食材でもお酒でも。お酒は酸のしっかりあるものが多いですね。
産地に行って直接感じたこと、大事にしたい人柄、ストーリーを伝えていきたいので、食材もお酒も国産にこだわりたいなと。あ、WAKAZEさんはフランスのお酒までちゃんと顔が見えてて、ポリシーも伝わってくるのでちょっと特別ですけどね。
手の届く範囲の人、これは生産者だけに限らず流通業者の方も含めてですが、全部が仲間だと思ってつながりを共有することで新たな化学反応がおきるのが楽しいんです。
実は僕、店を始めた頃は料理は素人で、築地市場の仲卸の皆さんに食材の選び方、裁き方、料理法などいろんな事を教えてもらって今があります。色んな生産者さんを繋いでいただいたり、イベントやらせて頂いたり、そこで新たな調理法を教えて頂いたり。
たくさんの人に繋いでもらったものを、今度は僕が店で共有して新しい化学反応を起こしていきたいと思ってます。
ー2018年に「KARASU」、2019年に2号店の「KARASU No SU」、そして来年には3号店オープン予定と、破竹の勢いで挑戦されているところがWAKAZEに似ているな、と勝手に親近感を感じています。今後の事業について「これをやりたい!」という想いなどはありますか?
KARASUをオープンした時に、「都内でまず3店舗構えたい」と思っていたのでようやく夢が叶うな、という感じです。
今後はこれ以上都内にお店を増やすよりは、地方に飛び出すのもありだなと思ってます。自分自身がワクワクするようなことをやりたい。例えば酒蔵に併設して料理店やホテルを作ってみたりとか。
全ての食材を現地で賄うことができて、現場の空気感を感じながらお客さんに楽しんでもらうのっていいなと思うんです。売上をあげること以上にポリシーや信念を大事にしていきたいなというのは変わらないですね。
ー現場の空気感を感じながらお客様に楽しんでもらう、という観点にめちゃくちゃ共感を覚えます。三軒茶屋醸造所がまさにそのコンセプトで立ち上げた拠点なので!
さてさて、すっかり話し込んでしまったのですが、おすすめメニューを1点お伺いできますか?
うーん、1品に絞れないです!笑
いつもおすすめ聞かれたら通年で3品お出しているので、よかったら。
ーぜひお願いします!(即答)
①ポテトサラダ
これはオープン当初からの看板メニューで、20代の頃にイタリアのシチリアで食べたポテトサラダがベースになっています。マヨネーズを使わず、レモンと塩とオリーブオイルで味を決め、アクセントにはたこが入っています。
ペアリングは同調するもの、例えばクエン酸が多く含まれているお酒をきりっとあわせるのがお勧めです。
ー口の中でレモンと塩の粒が弾ける...!さわやかなのにこくがあって、箸がどんどん進んでしまいます。これを食べちゃうと、普通のポテトサラダが物足りなくなってしまいますね!
②鴨レバーのコンフィ
茨城県の西崎ファームさんの「かすみ鴨」というブランド鴨を使わせてもらっています。放し飼いでストレスフリーに育ち、何より鮮度が抜群のため臭みがまったくと言っていいほどないのが特徴です。低温でじっくり火入れして、口の中でとろける状態に仕上げます。
ペアリングは達磨政宗の熟成酒のお燗がぴったりで、温度の幅によって味が膨らみ、組み合わさった時の感動を生みます。
ー取材中でお酒が飲めないのが本当に口惜しい...!このレバー、口の中でムースが消えてゆくみたいにふわりととろけて、でも旨味がぎゅっと詰まっていて素晴らしい...言葉も消えます...次は取材じゃない時に来て、必ずペアリングで注文します笑
③カルパッチョ4種
右上:エビスダイのタプナードソース添え
左上:熟成させた長崎県産ハーブ鯖、トマトととびっこのソース添え
右下:海老のアボカドと梅のソース添え
左下:アオリイカ、藻塩と柚子を添えて
魚の種類はその時々の仕入れで変わりますが、白身は必ず入れるようにしています。今日は脂ののったエビスダイですね。
食材のベストなタイミングを、色んな味わいで楽しんでほしいので、ソースもそれぞれに適した味付のものを選んでいます。
ペアリングするとしたら白麹由来のクエン酸の強いFONIA SORRAや富久長の海風土、もしくは柑橘感のあるお酒のお燗がお勧めですね。
ーすごい、1種類ごとに違う食感と味わいが広がってなんて贅沢なんだろう...。お醤油で食べる以外にこんなにも美味しくなるのかと目から鱗です...!世界が変わる...。
「寿司、刺身は醤油で食べるんでしょ?」って思ってらっしゃる海外の方にもぜひお試し頂きたいですね
そうなんですよ、醤油以外でも美味しい食べ方はいっぱいあるってことをもっと知って欲しいですね。食べる楽しみの幅が広がるので
ー赤井さん、今日は素敵なお話を伺わせていただきありがとうございました!また近々ペアリングイベントを企画させてください!これからもよろしくお願いします。
【店舗情報】
〒135-0047 東京都江東区富岡1丁目9-3 門前仲町駅より徒歩30
TEL:03-5809-9961
営業時間:15:00~0:00
定休日:水曜日
Text by Yasuda
営業&CS担当。福岡県出身。「九州出身でお酒強いでしょ」と初対面で言われがちだが、社内でも1.2を争うほどのお酒が弱い人。でも誰かと飲んでご飯を食べることが好き。趣味は寝ること、ドライブで温泉に行くこと。