ぶどうの魅力引き出すフルコースにあわせるSAKEペアリング
2020/11/13
Whim SAKE&TAPAS シェフのPaisenです!
先日のコラム(【シェフRecipe】実りの秋“ぶどう”の美味しい理由)に引き続き、秋の味覚「ぶどう」を軸にご紹介をします。
10月、長野県須坂市のゲストハウス蔵にて「長野ぶどうのフルコースとWAKAZEのSAKEペアリングを楽しむ会」を行いました。
1.WAKAZEぶどうペアリングコース
私(Paisen)は長野県で4年間働いていました。
旅館でシェフをしつつ、ぶどう畑の栽培/収穫のお手伝いしていたご縁から今回のイベントにつながったのです。
今回のイベントは三密を避けるため、大々的な告知はせずに友人知人のみの招待になりましたが、それでも2日間で22名のお客様にご参加いただくことができました。
そこでお出ししたのが、下記のメニューです。
Welcome drink
:ぶどうと煮出した凍頂烏龍茶
前菜
:シャインマスカットの3種盛り
①酒粕白和え
× 「三軒茶屋醸造所のどぶろく 薄荷」
→シャインマスカットの香りには、どぶろくに含まれるハッカの爽やかな香り。白和えのテクスチャーには、どぶろくのとろっとした舌触りがマッチ!
②にんじんの甘酒クミンラペ
× 「FONIA tea CHAI」
→クミンのスパイシーな香りに、5種のスパイスで造る「FONIA tea CHAI」が重なります。
③生ハムとリコッタチーズ巻き
× 「FONIA tea ORIENTAL」
→チーズの乳成分が「FONIA tea ORIENTAL」の後味をまろやかにまとめ、生ハムの塩味と油がORIENTALの香りが引き立ちます
パスタ
:信州サーモンとシャインマスカット/コトピーの冷製カッペリーニ 塩麹とシークヮーサー、アグリーダを使ったソース (※アグリーダ=未熟な青葡萄の果汁。レモン流行前のヨーロッパでは酸味づけに使われていたんです)
× 「FONIA SORRA」
→ぶどうのさわやかな甘味とサーモンのさっぱりとした脂身に、ソースのアグリーダと「FONIA SORRA(ゆずレモンをつかってます)」の酸味を合わせることで、互いの香りの良さを残しながらすっきりとした味わいを口中に残します。仕上げにピンクペッパーの果実的な辛味をアクセントに。
メイン (肉料理)
:豚の角煮 巨峰と実山椒のバルサミコソース、焼きカマンベールとレーズンパン添え
× 「ORBIA SOL」
→バルサミコソースと煮込んだぶどうの農淳な味わいに、「ORBIA SOL」の甘味と酸味、樽熟成による熟成感が重なります。焼いたカマンベールチーズの香ばしさと乳成分は、SOLの香りに心地よいまとまりを。山椒の刺激が味のアクセントを生み出します。
デザート
:ナガノパープルと胡桃のアーモンドケーキ、ナガノパープルといちじくのソースを添えて
× 「FONIA flower violet」
→「FONIA flower violet」のスミレの華やかな香りが、ケーキに含まれるシナモンとカルダモンの香りでさらに広がります。さらに、ナガノパープルといちじくの贅沢で濃厚な果実感に、violetの上品な甘さが重なります。
お誕生日の方へのサービス。シャインマスカットのズコット
お酒が飲めない方には、長野ぶどうの甘酒をご提供しました。
なんか聞いたことない料理もたくさんですよね。自分もほとんど初めて作る料理です。笑
ぶどう産地の参加者の皆様にとっても、今回の料理は驚きもたくさんあったようで、地元の「会長」と呼ばれているおじいさんからは「料理も酒も75年生きてきて初めての感動的な味」といったコメントもいただきました!
2.ひとつの食材を軸としたコース×SAKEペアリング
このコース形式、自分で言うのもなんなんですが、全国的に見てもすごい稀有で特別なものでないかと思うんです。
一品一品の料理と、それぞれのお酒をあわせるペアリングコース。
ワインでこそ一般的でしたが、日本酒において日の目が当たり始めたのは最近で、まだそれほど一般的にはなっていないかと感じています。
そして、ひとつの地元食材をテーマにしたフルコース。
これも各生産者団体やレストランを軸として、その食材の旬の季節にイベントで行われたりしていますね。ですが、こちらもまだまだ頻度は少ないように思います。
ただでさえ珍しいこの2つのコース。
どちらか片方はあったとしても、それを両立させているコースというのはなかなかないのではないでしょうか
現在、蔵元さんの技術革新によって日本酒も幅広い味わいが楽しめるようになってきました。
しかし、ひとつの蔵元でいざペアリングフルコースイベントとなると、さすがに味のバリエーションに制限があり、食材のほうを変えていかざるを得ないのが通常だと思います。
しかしWAKAZEの場合には、酒の仕込方法が生酛、水酛、山廃、樽熟成から貴醸酒と幅広いだけではなく、ボタニカル副原料を使用しているSAKEもあり、バリエーションは無限大。産地は日本から果てはフランスまで…。
その結果として味の範囲が広く、様々な料理と合わせることができてしまうので、一つの食材に縛られていてもフルコース&ペアリングコースが実現できるのです。
そう、このコース形式はWAKAZEのSAKEだからこそ実現できたとも言えるのです。
今回のコース料理でも、前菜は和/洋/エスニック、パスタはイタリアン、メインは中華風、デザートは洋、といったようにさまざまな料理のジャンルを組み合わせています。
どんな料理にも合わせられる幅をもっているのが、WAKAZEのSAKEです。
お酒とあう料理を考え、ペアリングを提案する側にとっても、制約がなく自由度が高く非常に楽しい点の一つです。
SAKEは和食にあわせるだけではない、洋にも中華もエスニックにも。そして、旬の食材だって同様に、何料理にだって変化させてあげることができます。
今回は長野でぶどう料理とSAKEを合わせるイベントを実施させていただきました。今後も日本の津々浦々、さまざまな食材で実施させてもらえれば!と思っています。
自分もその食材の料理を考えるのは楽しいですし、特別な体験をお届けできるかと思いますので「うちの地域のこれ使ってコースやってください!!」のオファー、いつでもお待ちしております!
▼秋におすすめのお酒:三軒茶屋のどぶろく かぼちゃ
Text by PAISEN
Whim SAKE&TAPAS シェフ。
国立大学卒業後、大手IT企業人事部勤務。料理が好きってだけで、華麗なる経歴を捨て、料理人に転身。長野県の温泉宿にて料理長を務めはじめる傍ら、2018年6月よりWAKAZEに参画。KURA GRAND PARISの蔵の立ち上げ、蔵人経験を経て、2020年7月よりWhimに舞い戻り現在に至る。生産者とのつながりが料理人としてのモットー、趣味はグルメ旅。